コロナ禍で、多くの企業がデジタル化やリモート化にシフトチェンジを果たしました。その波は医療や介護などの分野にも届き始めていますが、実際問題、薬局やドラッグストアでどんなふうにDXやデジタル化、リモート化ができるのか。今回のエントリでは、医薬の業界にフォーカスを当ててみました。

薬局って…何?

そもそも薬局って何をしている場所なの?というところからスタートしましょう。

一般の人々の薬局に対するイメージについて、厚生労働省がまとめた「患者のための薬局ビジョン実現のための実態調査報告者」に詳しく載っています。

9割以上の人が、薬局というのは処方された薬を受け取るところであるという認識を持っているようです。そしてその次に多い割合として7割以上が、処方された薬について説明が得られる場所、というイメージを持っていることがわかります。

そもそも医薬品医療機器等法では、「薬剤師が販売または授与の目的で調剤の業務を行う場所」=薬局である、と規定されています。そして薬店というのは、同法によると、医薬品の店舗販売業・配置販売業で、調剤を行う場所がなくても都道府県の許可を受けて開設することができます。薬局は医療用医薬品をはじめ、すべての医薬品を取り扱うことができますが、薬店は一般用医薬品しか販売することはできません。ドラッグストアは、一般的には店舗販売業の位置づけになりますが、調剤を行う場を併設して薬局として許可を得ているところもあります。薬局の許可を受けていないものは、薬局の名称を使用できないとされています。薬局と切っても切り離せないのが、薬剤師です。大学の薬学部で6年間のカリキュラムを履修し、国家試験に合格することでなれる薬剤師ですが、薬局・医療施設・医薬品関係企業への就職が主で、その業務内容は専門的な上、調剤、服薬指導、薬歴管理、薬の販売と、広範囲に渡ります。

消費者側が薬剤師や薬局に求めることについても、この調査からわかります。

(出典:厚生労働省「患者のための薬局ビジョン実現のための実態調査報告書」P76)

まずは「薬についてわかりやすく説明してほしい」という点。要は、服薬指導ですね。薬局が閉まっている時間帯でも相談に乗ってほしい、自宅を訪問して薬の管理・指導をしてほしいなど、いわばコンサルティングのようなサービスにもニーズがある点も注目できます。この辺はオンライン接客と非常に相性の良いエリアではないでしょうか。

ドラッグストアにおける変化

ドラッグストアにも注意を向けてみましょう。「ドラッグストアの接客に関する意識調査」の報告書から見てみます。

「商品の選び方などについて悩んだ(困った)経験はありますか?」という設問に対して、9.1%が「非常にある」、そして48.6%が少しあると回答しています。次の設問「具体的にどのような点について悩みましたか?」については、76.6%が「自分の症状に合った薬がどれかわからない」と回答。ここでも、薬剤師との接点ニーズが浮き彫りになっています。

この設問、「薬剤師や管理栄養士から直接、カウンセリングや商品の説明を受けたいと思いますか?」についても、あわせて64.9%が「受けたい」と回答しています。

ここは、オンライン接客を通じたDXの糸口として有効になりうる部分だと言えます。リモート接客やビデオ通話、そういったチャネルを患者が自分のアプリからまたはウェブサイトから使用することで、薬剤師や管理栄養士と直接つながることができるのであれば、患者とのコミュニケーション体験が改善され、スムーズになります。CX向上として、大きな訴求ポイントとなるところでしょう。

オンライン接客が必要になってくるもう一つのワケ

上記で取り上げた二つの調査からもわかるように、消費者や患者のニーズとして、直接専門家から指導してほしい、コンサルティングがあると助かる、といった点が浮き彫りにされました。実はオンライン接客などのデジタル化が必要とされる要因がもう一つあります。2019年12月4日付で交付された改正薬機法です。

この改正薬機法のポイントは、以下の三つです。

  • 薬剤師が調剤時に限らず、必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務
  • 患者自身が自分に適した薬局を選択できるよう、機能別の薬局の知事認定制度の導入
  • 服薬指導について、対面義務の例外として、一定のルールの下でTV電話等にやる服薬指導を規定

つまるところ、薬剤師が薬局外で服用期間中の患者をフォローしないといけなくなった、ということになります。薬剤師が在籍する調剤薬局等においては、業務改革が求められるようになりました。患者サイドからすると、薬剤師がより身近な存在になる、ということが言えるかもしれません。患者への寄り添いの必要性が大きくなってきています。そこで課題になるのが、「あの薬剤師、いつもの人に連絡しよう」と患者が思った時に、その場ですぐにつながる連絡チャネルがあるかどうか、またはその場所(薬局)に行くしかないのか、という点です。この部分で、患者の体験は大きく変わってきます。また、ただ単にTV電話的なターンキーソリューションを突っ込めばよいというわけでもありません。コミュニケーションの手段が多様化している昨今、そして感染症対策の必然性が人類史上最も注目を集めている今の世の中、ビデオ通話やメッセージングなど、患者側が使えるすべてのチャネルをシームレスに使えるように顧客軸でCXを改善することが必須です。

アバター接客を導入したコメヤ薬局の事例は一つのモデルになりうるかもしれません。コメヤ薬局が導入したのは、遠隔接客ツールで、パソコンのカメラがスタッフの顔を認識し、アバターに見立てて店舗のモニターに映し出す、というものです。スタッフの瞬きや表情を表現するアバターは、ボタンを押すと手を振ったりお辞儀をしたりします。そのままビデオ通話にも切り替えられます。遠隔接客を担うのは、薬剤師と登録販売者で、マイクを通じて来店客に声を掛けます。

今後の展開の可能性として

既存店舗におけるオンライン接客の可能性に加え、配置薬事業においては、患者が自宅にいながらスマホで薬剤師とオンライン通話でき、コンサルティングや注文を実施できるシステムや、ドラッグストアにオンライン対応薬剤師を置き、カウンセリング、服薬指導などのオンライン対応を実現する、などの展開が考えられます。百貨店やリテールなどで徐々に浸透してきているライブコマースなども視野に入れられるかもしれません。いずれにしろ、オンライン接客やデジタル化を通じて、患者のニーズを満たすことによりCXを向上することができます。いたずらにチャネルが増えても無意味です。チャネルを増やすよりアプリに統合することで、店頭に近い接客体験を生み出すことができるかもしれません。

また、顧客分析を通じた購入履歴の取得から、店員側も顧客のニーズやウォンツがわかるため、先回りしたホスピタリティの実現も可能となり、店側にとっても顧客と店員のマッチングが効果的に行えるため、人件費最適化にもつながります。

また、スタッフの最適化も見込めるかもしれません。オンライン接客担当者を自宅から接客できる状態にすることで、店頭に置かれたタブレット・アプリを通じて来店客とコミュニケートできるようになります。スタッフの働き方のイノベーションにもつながります。

CBA Live Assistという選択

弊社では、CBA Live AssistというSDKベースのオンライン接客ツールを展開しております。CBA Live Assistの強みは、「SDKを通じた柔軟でセキュアなシステム連携」という点。特にSDKによる最適化されたシステムの構築・連携が可能なので、既存システムとの柔軟な連動を実現できます。つまり、CBA Live AssistのSDKを利用することにより、簡単に自社アプリ(iOS/Android/Web)、自社ECサイトまたはPBXに連携させる形で、ビデオ通話やコブラウズ、ドキュメントプッシュ、アノテーションやフォーム入力支援といった、Live Assistのコミュニケーション機能を組み込むことができます。SDK提供のため、柔軟でセキュアな実装が可能です。

CBA Live Assistの導入にご興味をお持ちでしたら、いつでも弊社までお声がけください。