新型コロナウイルスの影響による減収が深刻化する中、店舗以外の顧客接点に強い期待が持たれている昨今。その一つの手法が、ここのところ耳にする機会が増えた、オンライン接客ではないでしょうか。このエントリでは、「オンライン接客ことはじめ」と題して、オンライン接客とは何なのか、またオンライン接客をはじめるべき3つの理由に加え、想定事例などを紹介したいと思います。
オンライン接客とは
オンライン接客と一言で言っても、インターネット接客、デジタル接客、リモート接客、Web接客など、呼び名はいろいろ。明確に区別されているわけではないものの、大きく「デジタルなチャネルを通じて、お客様の時間軸に合わせて行われる、非接触の接客サービス」とし、有人・無人接客のいずれをも含む、という定義ができるかもしれません。
たとえばブログ・SNS・自社サイトなどによる告知などの商品説明を通じたコンテンツ形式、自社ECサイトやお問い合わせページへいらっしゃったお客様と、チャットボットを通じてコミュニケーションする無人コミュニケーション形式や、店舗の店員が直にビデオチャットなどを通じて対面でコミュニケーションをする有人コミュニケーションなど、オンライン接客は多岐にわたっています。主な手段として、チャットボット、有人チャット、ビデオ通話やVRシステムなどが挙げられるでしょう。
しかしお客様側からすれば、いずれの体験も異なります。ボットが対応する無機質なコミュニケーションと、Zoomを使った対面接客では、担う役割も顧客体験も違ってくるはず。したがって、これらすべてを一言で「オンライン接客」や「デジタル接客」という言葉にくくるのは少々乱暴な方法のような気もします。
そこでこのエントリでは、「店員が、動画や音声でお客様と1対1でリアルタイムにコミュニケーションをする」という、店舗スタッフを巻き込んだオンライン接客形式にフォーカスを当てています。
今行うべきオンライン接客
先に少し触れましたが、オンライン接客は大きく「有人・無人接客」にわけられます。無人接客はチャットボットなどを実装したもので、お客様はボットの問いかけに対して回答していくスタイルです。ここに「デジタルヒューマン」を導入して、「チャット先のボットを視覚的にとらえられるようにする」ことで、お客様を感情的に惹き付け、無人オンライン接客のステージを一段階上げるという大変おもしろい取り組みがあります。顧客体験の向上につながるこの取り組みは、追求の価値があるものです。
一方で、店舗にいる店員と直に会話してコミュニケーションを取りながら接客を受けるという、有人ベースのオンライン接客に今、熱い視線が注がれています。オンラインでも、「人間対応」による「人間味」のある接客により、普段店舗で経験できる接客と遜色のない接客体験ができるというものです。
たとえば、自社ECサイトに「チャットボタン」が埋め込まれており、そこをクリックまたはタップすると、店員とチャットがはじめられるといった具合です。一歩進んだソリューションでは、お客様側からブラウザ上で「ビデオ通話」を開始でき、ポップアップで店員さんとコミュニケーションできます。CBA Live Assistがまさにそのソリューションの代表格です。
ポップアップなどで、お客様と瞬時に会話をはじめられる。お客様側から瞬時に店員に繋がれる。顧客接点の拡大だけでなく、店舗対応を通じて接客のノウハウを蓄積しているスタッフがオンライン対応にも活路を見いだせる、という流れが浮かんでくるのではないでしょうか。
オンライン接客を今すぐはじめるべき3つの理由
変わってきている消費者感覚
オンライン接客を受けようと思ったきっかけについて、ライフネット生命が実施した調査によると、最も多いきっかけとして「家でも接客を受けられるのが便利だから」という回答が挙げられています。また「外出自粛で店舗に行きたくても行けなかったから」という回答も3番目に上がっています。
たしかに、このコロナ禍、密は避けたいものの、店舗で実際に手に取って確認したい、でも入場制限はあるし、並ぶのもイヤだな…どうせなら家でもタブレットとかで店員と話せれば楽なのに…というニーズ、急増しているのではないでしょうか。
また、店舗側でも業務環境がドラスティックに変化してきています。店が開けない。開いたとしても入場制限・時短制限で客足が遠のいている。店舗に配置するスタッフの数も減らした方がよいし、実際に店舗で働くスタッフの健康状態や感染の恐れにも配慮しなくてはいけない。かといって電話対応で接客と言っても、口頭で説明し難い部分が多々あるため、店員・お客様の双方にストレスが発生する。
そんな状況下で、オンライン接客対応に店舗スタッフを回すことで、雇用の維持、店員の健康を守ることにもつながります。
集客の拡大
オンライン接客の最大のメリットは、「場所・距離に縛られない」という点。それにより、これまで来店が叶わなかったお客様へリーチできるようになります。
また、自社ECサイトを訪問してきたお客様は、以下のような質問があるかもしれません。
- この服良さげだけど、サイズ感がわからないな…
- プレゼント用に欲しいんだけど、他のチョイスも教えて欲しいな…
- 3日くらいの出張に良さげなバッグが欲しいんだけど…
- この道具の使い方がイマイチわからないから、説明が欲しい…
- この家電、こっちとこっちはどう違うんだ?
実店舗であれば、どこかにいる店員に聞けば、的確な接客を通じてこういったフリクションは解消されます。特にスキルのある店員であれば、お客様のお困りごとをささっと理解してそれに沿った、または先回りした接客を提供できます。
しかし、ウェブサイト上では、問い合わせたところで時間がかかってしまい、お客様のニーズを瞬時に満たせません。
ビデオチャットなどを通じたオンライン接客であれば、そういったお客様にもアプローチできるため、集客の拡大が見込めます。またオンライン接客がトリガーとなり、今まで来店してこなかったお客様への来店に対するトリガーにもなります。
顧客満足度・顧客体験の向上
「これ、口で説明するの大変なんだよな…」「実物が見られればな…」という経験、ありませんか?そんな時に、パッと見る・見せることができれば、すべてスムーズに進みます。
したがってお客様の抱えるフリクションを、うまく解決に導けるサポートが可能であれば、顧客満足度や顧客体験の向上に繋がり、お客様の離脱を防ぐことにもなります。
家にいながらにして、商品知識豊富なスタッフの説明が受けられる。商品を見ることだけでなく、どう使えるか、他のどんなオプションがあるのか。そしてお客様との対話を通じて、隠れていたニーズやお困りごとの発見にも繋がります。
オンライン接客を通じた新たな価値提供。これも重要な理由なのではないでしょうか。
オンライン接客にはデメリットも…
そんなオンライン接客ですが、もちろんデメリットもあります。
出典:ヘイ株式会社 オンライン接客・オンラインレッスンに関する実態調査
- ネット回線に依存してしまう。
- お客様のネットリテラシーに依存してしまう。
- わからない・伝えきれない部分もある(嗅覚、味覚、質感、食感等)
ヘイ株式会社が実施した「オンライン接客・オンラインレッスンに関する実態調査」によると、やはり映像を介したコミュニケーションのために、わかりづらい部分が出てくるというところや、通信環境、事前準備などがネックになっていることがわかります。
シームレスでフリクションレスな接客環境を整えること、それに相応しいツールやソリューションを導入することで、オンライン・オフラインの境を感じさせない顧客・購入体験を実現させることがカギとなっていくでしょう。
オンライン接客の想定事例
アパレル
- スタッフによる商品説明
- コーディネートサービス
- サイズやフィッティングアドバイス
- スタイリストによるアドバイス
アウトドア
- キャンピングギアのコンサルティング(初心者向け・上級者向け)
- 釣り具やノット(ラインの結び方)、ルアー等の説明
- ウェアやシューズのコーディネートサービス
- ギアの実際の使い方説明(テント、バーナー、ナイフ)
百貨店
- ビデオチャットによる商品説明
- 販売員からのアドバイス・コンサルティング
- ギフト相談
- コスメ・ジュエリー等のカウンセリング
不動産・住宅
- オンライン内見
- オンラインショールーム
- オンライン契約
- 各種説明関連
金融・保険
- 資産運用相談
- ATMサポート
- 窓口業務・オンラインバンキングシステムのサポート
- 保険契約サポート
家電・家具
- 商品知識豊富な専属スタッフによる説明・コンサルティング
- 家具・家電のサイズ確認、部屋に置いたときの感覚確認
- 商品比較説明
ホームセンター
- 各種道具の使い方説明
- サイズ感確認
- ビットや電動工具の比較
- ネジや小物に関するカウンセリング
映像を通じた「対面コミュニケーション」による人間味のあるオンライン接客を導入することで、新たな購買体験、顧客体験、そして付加価値を高めることができます。
当ブログではこれからも、オンライン接客やそれに伴う顧客体験・購入体験の向上、そしてオンライン接客ソリューションであるCBA Live Assistを通じた事例など、幅広く情報発信を行っていきます。
今後のエントリにご期待ください。